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♦ ゼロ
日頃(というより長年)のご無礼を解消すべく、
また、私にとって、ほぼ未知である受験やコンクールの部類の道を歩くため
その世界に詳しい恩師のお宅へ。


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この道・・・。

この道を中学から高校にかけての6年間
毎週、歩いたよなあ。

いろんな思い出、その時の気持ちが蘇って来た。


田舎から電車に乗って、あるいは母に車で送ってもらった道。

特別な教育など施されていない田舎娘が
東京のピアノのセンセイに習いにゆくなんて、それは
家族にとっても、地元のピアノの先生にとっても大変なことだった。

私にとっても、大変だったのか?

いや、確かに練習は大変にはなったけれど
初めて、この道を歩いた時は、すごくワクワクしていた。
大変だ、という気持ちは全然なかった。

どんな先生かな、男の人かな、女の人かな、どんなピアノかな
と、いろんな想像をしている私に

やれ
「ハンカチを持ったのか」「トイレはすませたのか」「腹は八分目か」
「コートは玄関の前でちゃんと脱ぐんだからね」
「玄関先で、もたもたするような靴をはいていっちゃだめだからね」
「先生にお尻をむけてはいけないからね」
「伺う時間は1秒でも前後しちゃだめだからね」
「ふろしきは、こうやって使うんだからね」
「才能ないって言われても、がっかりするんじゃないよ」

と、てんやわんやになっている、周りの大人達を
「不思議だなー」と思ってみていた。

今になってみれば、こんなにもかわいがってもらっていたんだ、と
しみじみ感謝しつつ歩く道。

今年は、なんだか、いろんな意味で「振り出し」に戻った気がする。
「ゼロ」になった、というか。
「まだ、こんなところにいるのか?」という思いもありつつ
「やっとゼロになれた」というような気持ちもある。



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